アイドルは職業ではなく魂の名前(WHY@DOLL One night only live~思い出のページを開いて~によせて)


2019年秋に活動終了したWHY@DOLL
その一日だけの復活ライブがすばらしかったので、それについての雑感です。
感謝をこめて!


ライブより前の話

はじめてWHY@DOLLを見たのは「キミはSteady」のリリイベだから、2017年の春ごろ。

2017年はまだゴリゴリのももクロのオタクだったし、その前は男の子たちに夢中だった時期で、
それがなぜ足を運んだのかというと、当時たぶん通ぶりたくてアイドル楽曲大賞まわりをチェックしはじめていて、ONIGAWARA提供曲だし一度見に行ってみるか、という物見高い気持ちからだったと思う。
いま思い返しても浅はかだな!とは思うけど、自分のミーハーな質のおかげでたくさんのすてきなものを知ることができているので、なんだかんだ感謝している。

知らないアイドルのリリイベに行ってチェキを撮って、って体験をしたことで、「そういうの」に関するフットワークが軽くなった。それがはたして良かったのか悪かったのかはわからないけど、いま通っている現場に臆せず足を運ぶことができたのも元を辿ればここからなんだろう。

それから何度かリリイベに足を運んだ。Gladでの定期公演にも行ったりした、けど「通った」というほどは行けていなくて、オタクとは呼べないけどファン、くらいの立ち位置だった。

それでもちはるさんはいつも女の子のファンがすくないから来てくれてうれしい、と喜んでくれていた(ように思う)。なにより好きな楽曲ばかりだったから現場に行かずとも何度もアルバムを聴き返して、地下アイドルを見る機会が増えてくるとWHY@DOLLがどれだけ洗練されたステージを見せてくれていたかということ、どれだけわたしの好みに合致したアイドルだったかというのが相対的に分かるようになってきた。

はじめて足を運ぶ「知らないアイドルの現場」にWHY@DOLLを選んだ当時のわたしのことはけっこう褒めてあげたい。


たくさん現場にいるわけではなかったから、こちらからの一方的な思い入ればかりだったように思う。

けど、活動終了が発表されてから足を運んだリリイベの特典会で、ものすごく勝手に救われたような気持ちになったリリイベのライブのこと(リリイベばっかだな!)をちはるさんにお話ししたことがあった。その日はずっとうしろのほうで見ていて特典会も行かずライブが終わると同時にそこを離れたから、わたしだけの記憶だなとばかり思っていたけど、それを聞いたちはるさんがすぐにSweet Vinegar(のリリイベ)のとき?と言い当ててくれて、その瞬間、こちらが思うよりもずっとステージからはいろんなものが見えていたんだろうなあとハッとした。


浅草花劇場で行われたラストライブには昼公演だけ足を運ぶことができた(昼夜の二公演だった)。すごくすごくすごくいいライブだった。

最後のアルバムのために用意された真っ白なドレスの衣装も、ステージに敷き詰められた生花も、いつものスタッフさんがピシッとスーツを着こんでらっしゃったのも、お別れの場というよりも全部全部ふたりの門出への祝福に見えたし、実際そうだったんだろうと思う。

WHY@DOLLは年齢という枠に縛られず、ずっといてくれるような気がしていたアイドルだった。

品のある衣装も、幅広くてチャーミングな楽曲もふたりの関係もそれを示してくれていたような気がしていたし、そんな未来が見たかったし、だからこそ活動終了の報はとてもさみしかった。でも、もし続けることでちはるさんが体を壊して終わってしまっていたら、と思うと苦しすぎるから、こんなきれいに終わらせてくれる選択をとってくれたこと、ありがとうと思う。

ちはるさんが最後の日に「アイドルをやりきれた」と言ってくれたこと、わたしにとってずっと希望だ。

どんなに心残りがあったとしても、好きな子が「やりきれた」と思えていればこれでよかったんだって思えるんだとわかったから。


ライブの日の話

もうこんな機会もないかもしれないから、と思って、ラストライブの際には渡せていなかったプレゼントを開場直前に急いで買いにいった。SEIBUが渋谷駅前にあることに一生助けられる人生。

好きな子に口紅をプレゼントしてしまいがちな人間だから今回もそうしよう、と思っていたんだけど、いまは口紅をあまり使わないかもしれないなあ、と一瞬悩んだ。でも結局口紅を購入してプレゼント用に包んでもらった。いつか日常として口紅を塗る日への祈りのようなものなのかもしれない。



一曲めの「曖昧MOON」でふたりがステージにあらわれた瞬間からおわりまでだいたいずっと泣きどおしてしまった。そのままじゃん、と思ったから。あまりにも。

厳密に言ったらもちろんそんなことはないのかもしれない。現役当時の映像と比べたらやっぱりそのときのほうが研ぎ澄まされているんだろうし、もしかしたら本人たち的にも納得いかない部分はあったかもしれない。でも、ほんとうにあのときのそのままGladの定期公演を見ているみたいな気持ちになっていた。そんなことを考えていたら、はるなちゃんが「景色がそのまますぎてタイムスリップしてきたみたい」と話すものだからもっと泣いてしまった。


この復活ライブが決まったとき、すごくすごくうれしかったし、絶対行くぞ!!!!!と思っていたけど、いま思うと事のおおきさに全然気づいていなかった。

MCのなかで、今日はむかしのスタッフさんとかスタッフさんとかスタッフさんとか衣装さんが手伝ってくれてるんだよね、わたしたちいまフリーランスだからね、ってふたりが冗談めかして話していた。ライブが終わってからTwitterで、この日の照明はずっとGladでやってくれていた人が来てくれていたという話も見かけた。今日この日は、きっとほんとうはGladでやりたかっただろうけど、Gladはなくなってしまったからそれに近い渋谷のハコを選んだんだろうとだけ思っていた。そういえばVeatsはビクターのハコで、WHY@DOLLはビクターからTパレに移籍したんだなあと、お話しを聞きながらすぐに思い至った。

(これもほんとうにびっくりしたんだけど)ふたりはこの日のために新曲をつくってきてくれていた。はるなちゃんがすこし作曲もしてすぐ哲人(吉田哲人さん)に送りつけてなんとかしてもらった、と笑っていた。

そもそもふたりはもう、WHY@DOLLが活動終了してからふるさとの北海道に帰ってはたらきはじめている。お話しを聞くかぎりではふたりとも、アイドルみたいにステージに立つようなお仕事ではなくて、ふつうのお仕事をしている。


もしふたりが裏でスタッフさんにてきとうな態度を取っているようなアイドルだったら?
もしふたりが事務所を移籍するさいに大モメしたりしていたら?
もしふたりが仲たがいしてグループが終わっていたとしたら?
もしふたりがあの先無理につづけていたとしたら?
もしふたりがもうステージに立ちたくないと思ってしまっていたら?
もしふたりがアイドルをきらいになってしまっていたら?

ふたりが真摯にアイドルをつづけてくれていたから、ふたりとふたりを見守ってくれていた人たちがWHY@DOLLを愛しつづけてくれていたからこそ、そういうもの全部重なったからこそ今日この日が叶ったんだなあ、奇跡みたいだなとめちゃくちゃ打ちひしがれてしまった。

「そのままじゃん」って思えたのは全然当たり前なことではないなあ。


アイドルの終わりのその後をはじめて見た。終わりの先がこんなにやさしいなんて知らなかった。

でもたぶん、こんなにきれいな終わりのその先をもう見ることはないだろうってわかってしまったから、いろいろな気持ちで泣いてしまった。こんな奇跡みたいなこときっともうないから、わたしはいま好きな子を後悔しないように推すことだけが使命だなあとか。いまのわたしの状態で、はじめて現行のWHY@DOLLに出会えていたとしたら、もっといいオタクになれていたんだろうか、とか、わたしが魂を賭して推したと思えるアイドルふたりはもう二度とアイドルとしてこんなふうにステージに立てないような辞めかたをしたから、なんでこんなふうになってくれなかったんだって今さら駄々こねたくなって悔しくて泣いてしまったりとか、推しきるってどういうことなんだろうなあ、とか、いろいろなことをぐちゃぐちゃ考えてしまった。すごい光景だったなあ。


「マホウノカガミ」はわたしがよく定期公演に行っていたときにたくさんやってくれていた気がしたからうれしかったな、とか、「夜を泳いで」はそういえば夏の曲だったんだなあとか。歌詞ひとつひとつにも泣けてきてしまってたし、わたしは「Dreamin' Night」の(朝焼けが今日も)世界を彩る奇跡、のちはるさんのすこしうしろによりかかるような歌唱が大好きで、覚えているままの光景だなと思ったし、そのつづきが永遠みたいに不確かな言葉今信じたい、って詞なんだということにまたギューとなる。大好きな「恋なのかな?」はラストライブの日の夜しかやっていなかったから最後にきけなかったことがとても心残りで、だからその無念が成仏できてよかった。「ケ・セラ・セラ」はいつだってなんて歌詞なんだよ、と思うし、この両目は、って詞のところで、はるなちゃんとちはるさんがひとつとひとつの目であるあのシーンをとても愛している。「Show Me Your Smile」が出たときに、この歌詞を最後にうたわれたらたまらなくなってしまうだろうな、ってすごくすごく考えていて、終わりのその先できくのはなんだかもっと言葉にできないような気持ちだった。わたしは「Mr. boyfriend」派だったんだけど、この日はアンコールの「It's all right!!」が良すぎて良すぎて良すぎてボロボロ泣いた。寂しい時には会いにいくからねきっと待っていてねダーリン、目と目と手と手を合わせたらきっと連れ出してあげるよ、ってなんて歌詞を書くんだよサティフォ!最後にうたわれた「菫アイオライト」の心配性だねそこも好きだよ、って歌詞がわたしは超大好きで、勝手にほわどるちゃんとほわどるおじさんたちの関係そのものみたいに思っていた。道しるべのようなこの曲を最後にうたってくれるふたりのやさしさよ。ああいい曲ばっかだなあ。ふたりが手と手を取ってくるりと回るたびにあのときとおんなじように夢みたいな気持ちになったし、ふたりだからふたりとしてのシンプルな振り付けでシンプルなフォーメーションなんだけど、指先まで神経がぴんとはりつめていて、ターンしてもぶれない姿勢と歌声があって、だからこのこのふたりのパフォーマンスはいいんだよな、とか、たくさん思い出したし、あたらしい発見だってあった。音楽はずっと残り続けるけど、ステージはそこに立つ人がいなくなってしまえばもう目にすることはなくなる。それがすごく苦しかったから、また見られてほんとうにうれしかった。


ふつうに働いてるとなかなかかわいいって言われることないから、今日裏でスタッフさんとかにたくさんかわいいかわいい言ってもらえて、アイドルっていいお仕事だったよね、またアイドルやろうかなあなんて笑っていたはるなちゃんは、これをきいてオタクがまた涙がとまらなくなってしまってたなんて思いもしなかっただろう。アイドルではなくなる選択をしたアイドルの子がアイドルを好きなままでいてくれること、アイドルオタクにとっての悲願だ。
はるなちゃんはたくさんたくさんまたやりたい、また会おうね、と言ってくれて、わたしはちはるさん推しだったからはるなちゃんとお話しする機会がなかなかなかったんだけど、さっぱりしているように見えても言葉ひとつひとつから愛情深さがにじみ出るはるなちゃんという女の子が大好きだった。ずっとみなさんの心の真ん中にいたいってわがままは言わないけどずっとわすれないでね、って話していたとき切なくてギューとなった、はるなちゃんはずっと聡明なひとだ。

ちはるさんのことをずっとお姫さまみたいだ、って言っていて、この日も変わらずお姫さまみたいなちはるさんを目にすることができて幸福でした。ふわふわとやわらかななかに意志の強さがたしかに見えるところが変わらず好きだなあと思った。自分のアイドルとしてのポリシーを話してくれていたはるなちゃんが、みなさんの生きるうえでの、なんだろう、とすこし言葉に迷ったときに、糧?ってとっさに言い当ててたちはるさんを見て、めちゃくちゃグッときた。ちはるさんはアイドルをやりきれた、と言ってくれたから、もうアイドルじゃない場所ではたらいているから、もうアイドルじゃないのかもしれないけど、それでもどうしようもなくわたしにとってアイドルだ。


「タイムスリップ」って表現がこんなにあてはまることないってくらい夢みたいな時間だった。爆泣きではーって放心状態のまま規制退場にのって帰ろうとしたら、ガラスのむこうでだけどふたりがお見送りをしてくれていて、そのまま涙がとまらないまま帰路につくことになってしまった。ものすごい時間だった。こんなことがあるんだな。



ふと思い返してちはるさんとの最後のチェキを見たら、ずっと大切!って書いてくれていて、めちゃくちゃわかる、と思った。 


またいつか!
(と思わせてくれることってなんて素敵なことだ)

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