(2019年1月、二丁目の魁カミングアウトさんの楽曲『シワの数だけ被GAY妄想』についての文章の再掲です。)
記 2019年1月3日
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二丁目の魁カミングアウトさん 3rd mini album「Good As Yesterday ❸」によせて 2曲めです。
M2. シワの数だけ被GAY妄想
初披露は2018/5/1 絶対に埋まらないワンマンライブinO-EASTにて。
ほんとうに振りまねがしやすい曲で、曲が始まった瞬間に夢中でいっしょに踊ってしまうのですが、最後のサビでああこの振りはステージの上の大好きな人たちと手のひらを合わすようなふりつけなんだなあって気づいて泣きそうになっちゃうの、魔法みたい。
二丁目の魁カミングアウトは不可逆をうたうグループです。
かさなっていく齡やわすれてしまう記憶、きざまれていくシワ、どの曲にもけして戻ることのできない時間が流れていて、その不可逆へのあらがいや、あらがうことのできないかなしみ、後悔、が、どの曲にも根底に流れている、と思います。
“誰かとシワだらけの手と手 繋げた日にやっと僕らは
ほんの少しだけ永遠 信じてみたくなる気がするんだろう”
曲中でも歌われるように、「シワ」はしあわせのしるしではなく、かさなっていく時間の象徴として、はずかしいもの、隠さなければいけないものとして体にきざまれていきます。
でも、この曲で歌われるのはその呪いでありながら、呪いへの、不可逆への赦しだと感じます。
“誰かとシワだらけの手と手”でいつもハッとしてしまいます、大好きな人たちもわたしたちも、シワだらけの手を隠すことなく向かいあわせることのできるような振りがいとおしいなあ、と思います。
ここ、いつだって本気で手と手を合わせるような、繋ぐような気持ちで踊ってしまいます。
“兄ちゃんも 姉ちゃんも 赤ちゃんも 爺ちゃんも 婆ちゃんも 社長さんも”
“父ちゃんも 母ちゃんも ネコちゃんも お隣さんも 親戚も”
“わたしも あんたも それなりに アイドルも お宅も それなりに”
サビの第三者を羅列する歌詞(とくに「社長さん」には)には『LOVEマシーン』を思い出して、はじめて聴いたときにハッとしました)。二丁ハロとして活動してきたミキさんとしての、つんくさんをリスペクトしたオマージュなのかな、と勝手に想像していて、聴くたびに勝手に胸を熱くしてしまいます。
(そう考えると、“幸せ来る日も キャンセル待ちなの?”とかもすごくそれぽいですね)
“14も15も16も 19も20も21も”
“24も25も26も 29も30も31も”
『青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ』と同じようにみっつずつ数えられる年齢は、わたしはなんとなく、『青春〜』では過去から未来を、『シワ〜』ではいまを歌っているように思っています(どちらもどちらの意味を含めていると思いますが)。
年齢って誰にでも平等に与えられるものだから、それを歌われるとぐっと誰かにとっての「自分の歌」になるなあと感じます。
“平等に用意された笑顔と涙 作り笑顔もカウントされちゃいますか?
笑顔の数だけ福が来るなら こんなに頑張って笑ってきたから
もう幸せになっていたって おかしくないよね スマイル0円 ハッピーセット”
この曲はたのしくってハッピーな雰囲気の反面すごくけわしい歌詞で構成されていて、そういうところがとてもミキさんのつくるものだなあと思うのですが、わたしがいちばんシビアだなあと思うのがこの箇所です。
特に、アイドルという存在が「作り笑顔」と歌うこと、わたしはドキッとしてしまいます。アイドルという職業は、悲しいときも苦しいときも本物でなくても笑わなければいけない瞬間が、人よりもたくさんある存在だと思うから。
でも、ミキさんは作り笑顔をできるだけしないような、笑顔の気持ちのとき笑顔でいられるようなアイドル活動をつくってくれていると思うので、だからこそこの歌詞が痛々しい意味をもちすぎない問いかけとしてなりたっているのだと思います。
この歌を歌う白鳥さんのことが大好き!
たのしい!って気持ちがあふれでるような顔でこの曲を歌う白鳥さんは、つよくてチャーミングで、わたしの思いえがく「アイドル」そのものです。
“アイドルも お宅も それなりに”を歌う白鳥さんのはれやかな表情が大好きで、いつもこれを目にするたびに、この人を応援できていてしあわせだなあ、という気持ちで満ち満ちになります。
きまるさんとぺいさんのハイハイを保育士さんのように誘導したり、テレビの通信販売にリンリン電話をしたり、ミキさんやぺいさんのワンダーコアになったりポテトを食べていたり、この曲の白鳥さんにはかわいいポイントがたくさんあるのですが、わたしは“『僕の悪口言ってる』察知能力”の白鳥さんがかわいくって、ご自身もたのしもう!ってかんじが伝わってくるのがだいすき!!
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信じられないかもしれませんが、平成最後の夏は、7月のHARD GAY TOUR初日の名古屋公演、波の音がきこえて、ぺいさんが最高の夏にしよう!って叫んで、この曲がなりはじめたあの瞬間にはじまりました。
一瞬にしてこの歌はサマーチューンとしてわたしたちに魔法をかけてくれたんです。わすれられない思い出!
5月のHARD GAY TOUR大阪公演のダブルアンコールも大好きだった、プリズムみたいな色あいのなか、ミラーボールの光の粒でみちみちて、天国に来ちゃったんだって思いました。
HARD GAY TOUR千秋楽のピューロランド公演で、ミキさんぺいさんのユニゾンでケチャした光景だってわすれられないなあ、とっても気持ちよくて、ピンクで祝福された光景がきれいで、大好きで大好きでたまらなかったHARD GAY TOURをたいせつにリボンでむすんで封をしてくれるような記憶でした。
おわり
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