冬が終わる(「REAL GAY LIVE in EX THEATER ROPPONGI」によせて)

2020年12月14日は、292日ぶりに有観客でおこなわれる本現場の現場だった。
2月の寒々しい日に川崎で行われたフリーライブから、季節は春も夏も秋も越してまた冬がおとずれていた。文字にしてみると、奇妙な年だったとあらためて思う。ひさしぶりの本現場の現場のことを書きのこしておきたいなと思いこれを書きはじめているけど、その前に、12月7日におこなわれたぺいさん生誕のことをすこしだけ書いておきます。

今年のぺいさんの生誕はツイキャスのプラットフォームを用い、いつものアイソトープラウンジから無観客で配信を行っていた。ライブの前にメンバーをひとりひとり呼びこみトークをする形式は、2018年に東京キネマ倶楽部でおこなったぺいさんの生誕とおなじようなかたちだったので、ぺいさんは一貫して「ぺいにゃむにゃむ」なんだなあということを、この日お話ししてくれたことも含めてしみじみと思った。
ただ、今年変わったなあと感じたおおきなひとつは、ぺいさんがソロで5曲ほど二丁目の魁カミングアウトの曲を歌っていたこと。生誕のあとにおこなわれたオンライン特典会でぺいさんもそういうことをすこし話してくれたのだけど、前だったらここまでぺいさんひとりで、というパフォーマンスをおこなうことはなかったんじゃないかな。だからわたしはそれが勝手にとてもうれしかったし、この日のぺいさんの歌が、今まで見てきたどのぺいさんよりもすごかった、と言ってしまえるくらいにすごい、と思えたのもうれしかった。わたしは配信は配信で、現場は現場でどちらもどちらの代わりにはなりえないと思っているけど、この日の配信だけは現場だったと言いたい。

ぺいさんがひとりで「鶴は千年 亀は万年 僕の数年」を歌っていて、4人でも歌うのがむずかしい曲だろうにぺいさんはすっかり歌いこなしていて、すごいなあかっこいいなあ、と思ったし、去年のぺいさん生誕がきのうのことのように思えたから今このときがその一年後だってことがふしぎでしょうがなかった。去年のぺいさん生誕ではこの曲でサイリウムサプライズがおこなわれて、顔をあげたぺいさんが満面の笑みになって、とたん泣いてしまいそうにくしゃくしゃになっていたのをすごく覚えている。それが引き金になったのかわからないけど、去年のそのときはまだきまるさんの脱退が発表されていなくて、でも、この日3人体制での「ネコの恩返し」がはじめて披露されて、わたしはその瞬間にああ終わったんだ、となぜか思ってしまって、体の力全部抜けたこととか、その日の「人を好きになれる君は何度でもやり直せるんだ」で3人が涙を流していたこととか、そういうことがたくさん思い出された。全部あのときの冬と地続きだった。だからなのか分からないけど、ぺいさんのソロが終わって、メンバーを呼びこんだとき、前の体制の4人で揃って出てくるんじゃないかと本気で錯覚した。2人のライブのときも、新体制のお披露目のときも、もっと言えば3人体制のときもそんなことは微塵も思ったことはなかったから自分でもすごくびっくりした。新体制がほんとうにうれしくってもう大好きになっていたから、未練をたちきれたようなつもりでいたけどそんなことは全くなくて、この日はびっくりするくらい打ちのめされてしまった。今まででいちばん、もう存在しない瞬間瞬間を目で追いかけてしまうライブだった。でも、そういうのもひっくるめて最後にはしあわせな気持ちで終われたのは、あたらしく入ってくれたふたりの頑張りのおかげだし、ずっと続けてきてくれたミキさんのおかげだし、なによりぺいさんがいれば大丈夫だ、って本気で思わせてくれたぺいさんのおかげだと思っています。この日のぺいさんのソロがすごすぎて、このあとのグループでのパフォーマンスはこれを超えれるのかな?と思ってしまったあとの4人のパフォーマンスが、とくに新加入ふたりの歌が前回おこなわれた配信ライブとは見違えるくらいに良くなっていて、気持ちがものすごく高揚したこと、はやく生で見せてくれ!!と思った気持ちが鮮烈すぎたおかげで、この日のぺいさん生誕と12月14日のREAL GAY LIVEは、自分のなかではつづきもののお話しのように思っている。


REAL GAY LIVEの感想をのこしておきたい、とこの文章を書きはじめているものの、正直、たのしかった!という感想くらいしかよく覚えていられてなくて、それがうれしくもあるけど、でも覚えていたかったなあという気持ちもどちらもある。2階席で観ていて、2階席だけど、2階席なのに、ずっと歌声の圧力に圧倒されつづけていて、それは音圧だけのものではなく、魂とか、命とか、そういう表現をしたくなってしまうようなものの力がいちばんおおきいように思う、このグループに関しては。はじめからおわりまでずっと歌うますぎ集団!と思えたことが最高だった。この4人のユニゾンが好きだなあと心底思う。
後日のオンライン特典会で、この日のベストパフォーマンスは?と尋ねられたときにはホモサピエンスとアンハッピーバースデーと答えた。ホモサピエンスがとても好きだった。この歌の核のように感じている詞をすべて筆さんが担っていて、あの歌割りがどう決められたのかってこちら側には分からないけど、わたしは勝手に、ミキさんがこの歌を、詞のひとつひとつを筆さんに託したんだなと思える瞬間がいくつもあって、その瞬間瞬間が好きだった。間奏の、ひとりひとりがドラマのなかみたいに動いていくシーン、紅さんは駆けだすんだろうかと見ていたらゆっくりと歩を進めていて、あの瞬間にグッと引きこまれた。紅さんの、もっとこの人のこの先が見てみたいなあ、と思わせる力は特別だなあとあらためて思った。最後にやる曲はなんなんだろう、とまったく予想がつかないままでいたらアンハッピーバースデーのイントロが流れはじめて、9周年おめでとう、といろいろなことが繋がっていった。いちばん圧力みたいなものに打ちのめされたのは最後にパフォーマンスされたこの曲で、なんかもう、そういうことだよなあ〜、という気持ちになってしまった。今までなんとなく誰のキーにもぴったりとははまっていない気がしていたこの曲だけど、紅さんがこれからバシッとはめていけそうな予感がしてものすごくワクワクしたので、これからもたくさんやっていってほしいなあ、と思う。
ノスタルジスターという曲のことが大好きで、勝手にとても大切にしていて、この日のノスタルジスターを聴きながら、自分は自分が考える以上にたくさんの気持ちを乗せてしまいながらこの曲を見つめていたんだなあ、ということに気がついた。詞のひとつひとつが自分の分霊箱だった。ウーと唸ってしまいそうな気持ちになりながらも、筆さんが、紅さんがわたしの大切に思う詞を大事に大事に歌ってくれていてうれしいという気持ちがおおきくて、その気持ちで泣けてうれしかった。いちばん泣けてしまったのはぺいさんが歌い出しを引き継いでくれたことにだったけど。
全編をとおして、なんだか夢を見ているみたいな気持ちだった。はじめて観るアイドルのライブなのに、どうしてこんなに良く感じるんだろう?はじめてなのになんでこんなに体が勝手に動くように踊れるんだろう?みたいな気持ちにすらなった。カエルのうたのサビのところって、今ではすっかり違った心持ちで聴こえるようになっていて、前世の記憶が体にしみついている人の状態みたいに思えたし、それで言ったら、ぺいさん生誕のときは前世の夢を見ていたんだろうか。いろいろ置いて、とにかくたのしくて大好きだって思えるライブだったのでそれがものすごくうれしかった!しょっぱなから泣いてしまっていたミキさんを見てミキさんだな〜と笑ってしまったけど、しあわせそうに笑ってるミキさんを見たらもうほんとにミキさんがうれしいならそれでいいよという気持ちで泣けた。最後のあいさつで、いまここの会場に来てくれている人、いま配信を見てくれている人、とおなじ並びで、いまは見ていなくてもいままで支えてくれた人に気持ちをつたえるミキさんがミキさんだなあ、と思った。

贅沢もので申し訳ないけど、ああたのしかった!って気持ちとおなじくらいにはやく次のライブが観たい!と思った。そう思えることがとてもうれしい。


アナウンス
S1 耳をすませば
S2 パラレルヤワールド
S3 青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ
MC
S4 ボクの夢はお嫁さん
S5 ピンポンダッシュ
S6 GAY STAR
S7 カエルのうた
S8 シワの数だけ被GAY妄想
S9 ホモサピエンス
S10 ノスタルジスター
S11 鶴は千年 亀は万年 僕の数年
S12 マイノリティーサイレン
S13 リバ
S14 まるもうけ

EC1 病める時も 健やかなる時も
MC
EC2 アンハッピーバースデー


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