空気階段の単独ライブ「anna」を配信で視聴した。いいものを見た。
昨年、友人がラジオ「空気階段の踊り場」を勧めてくれたので、それからというもののラジオクラウドで少しずつ聞いている。おすすめしてもらった「駆け抜けてもぐら」とかたまりさんの号泣プロポーズの回はもう少ししてから聞こう、と後回しにして聞けていなくて、そうしているうちにかたまりさんの離婚の報を聞くこととなってしまった。
空気階段のコントのなかに登場するひとは、なにかがどこかものすごくかたよっているひとが多いように感じていて、「anna」に登場するひとたちはなにかをかたよって好きでいるひとが多いように見えた。それは追いかけていたミュージシャンであったり、むかし自分で描いたまんがであったり、深夜ラジオであったりする。わたしもなにかをかたよって愛してしまうような人間で、自分の人生もままならないまま(ままならないからこそ、かもしれない)好きな対象に勝手に気持ちを乗せてしまう自分を恥じているけど、これからも偏愛に人生を救われていくし、偏愛に人生を救われてもいいのだなと思えた。メガトンパンチマンカフェに訪れたお客さんが、笑いながら「また来ます」と言ったときすこし泣きそうになった。
わたしはわたしの好きなエンターテイメントたちに、このままどこか遠く連れてってほしい、と思うし、君を想うことがそれだけが僕のすべてなのさ、とも本気で思うし、この時代この国にあなたが生きているから勝手に勇気をもらっている。最後のコントを見終わって、ああ恋がしたい!という気持ちにもなったけど、それ以上に、わたしの好きなものを愛したい、と思った。
(DVD化の際に、使用音源が変わらずにいてほしいなとものすごく思います)
いろいろな人にとっての、いろいろな文化の入り口になるような作品なのではないのかなと思う。それはお笑いの世界なのかもしれないし、はじめて出会う文化かもしれないし、これを見て思い出して、また出会いなおす文化なのかもしれない。ふたりがおもしろいと思うことにふたりの演技力やそれを支える周りすべての技術力が追いついているように見えて、それがほんとうにすばらしい。そう思える作品を、まったく違う人生のふたりが作り上げていること、そのことを眩しく思う。
いろいろ書いてしまったけど、シンプルにおもしろくて、いい演劇作品だったことがいちばんよかった。いいものを見た。
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