夏が終わる(20210809 YOKOHAMA GAY CRUISE 2部)


危惧していた台風10号による影響は強風のみとなり、この日の船上ライブは出航せず着岸での開催となった。正直半分くらいは中止を覚悟していたのでなんてありがたい措置だろうか。
2部のMCのなかで、筆さんは「1部と違うところを見つけました」と話していた。たしかその流れでだったはずだけど、「あの建物(※ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル)の屋上にいる天使を大切な人と一緒に見るとしあわせになれる」という旨をお話ししてくれていたと思う(そのあと、建物のかたちを見たぺいさんが萩の月だ、と言ってじゃあみんなであれに向かって萩の月ー!って叫ぼう!となっていたけど、友だちが指摘していたとおり萩の月ではなく半月のかんちがいと思う、それも含めていとおしい思い出ですが)。
わたしは、こんなお話しをいまこのときに聞かせてくれる筆さんの心を宝ものみたいに思う。

2013年に赤レンガ倉庫で行われたスピッツの野外ライブ「横浜サンセット」でも、あの屋上の天使(ほんとうは女神像らしい)の話をMCでしていたな、と一瞬で記憶がよみがえって懐かしくなる。
横浜サンセットはほんとうにほんとうにいいライブだった(現地にいた人はみんな同意してくれるのではなかろうか、主語が広くて申し訳ないんだけど)。
草野さんの意向でパッケージ化はされず、映像でふたたび観ることのできる機会は2015年の劇場公開と、昨年のコロナの影響を受け特別にYouTube公開してくれていた時期のそのふたつしかなかったわけだけど、わたしは今でもあのときの空気のかんじをありありと思い出せる。夏が終わっていくにおい、夕方からだんだん日が沈んでいって暗くなって、セットがますますきらきらきらめいていくさまとか、だんだん暗くなっていくなか演奏された「夏が終わる」にグッと切なくなったこととか、「アパート」からの「月に帰る」のときに近くで人が倒れてしまって、ステージが見られないなか音だけが耳に届いていたこととか、夜の海のとおくからきこえた船の汽笛とか。

わたしはライブ中の記憶をたくさんは覚えていられない。たのしくてどうしてもわすれたくない日はなおさら。
なにも覚えていられなくてもたのしい気持ちだけが残っている日はいい日だ、と思いながらも、やはり覚えていられないことやわすれていってしまうことが悲しくて、できるかぎりどうにかならないかともがきつづけている。ライブそのものは覚えていられなくてもライブのときに感じた感覚をどうかわすれないようにと願掛けみたいに文字に起こす。ライブのその日の肌に感じた空気はいつか思い出せるような気がするから、その日の気温とか湿度をメモしはじめた(これはまだ効果があるのかはいまいちわからない)。今まであんまり撮っていなかったのがふしぎなんだけど、ライブ前後の時間(会場までの行く道とか)の写真をたくさん撮るようになった。わたしのすることはみんな意味があるのかわからないおまじないのようなものなんだけど、わたしはそういう意味があるのかわからないようなことばかり大切にしている。

いつかこの船上ライブの日を思い出そうとしたとき、この日の船の上での肌にふれる空気のかんじ、びゅうびゅう吹く風をうけている感覚をすぐに思い出せるような気がした。横浜サンセットの日みたいに。これはやっぱり野外ライブの特権と思うし、だからわたしは野外ライブが好きなんだと思う。そして、また屋上の天使の話をきくことがあれば今日この日を思い出すんだろう。何年経ったとしてもきっと引き戻される場面があることが、引き戻してくれるなにかがあることがわたしにとっての希望だ。
あとこれは超余談なんだけど、横浜サンセットの予告映像をひさしぶりに見たら横浜サンセットとこの船の日(2部)の時間帯ってほぼおなじだったんじゃないかなあと思った。場所はすこしちがうけど、空のかんじがとてもよく似ている。

2年前におなじ船上でおこなわれたライブではステージのうしろと横に仕切りがあったように記憶していて、前のほうで見ていたら視界においては全く「野外」を感じられずなんかふつうにふつうのライブみたいだったな!!という記憶が色濃く残っている(なんて情緒のない感想!!)。だからこの日も正直そこまで期待はしていなかったんだけど、超野外だった!!!!!!!野外最高~~~~~!!!!!!!!
着岸だし、客席が海を背にしているからわたしたちには海見えないしな〜とか思っていたけど、着岸で景色が変わらないぶん空のうつりかわりがよく見えたのがよかったのかもしれない。着岸にならざるを得なくさしてしまった原因のびゅうびゅうに吹く風も野外の実感のように思えたし、なによりメンバーには客席ごしの海がきっと見えていたからそれでいいなあと思えた。


すっかり夜も深まったなかのラストの曲、病める時も 健やかなる時も の最後のさいご、ねえめぐりあえたそれだけで、をうたうミキさんの声がどんどん震えていくのがわかって、ハッとしてミキさんを見たら鬼の顔©で涙をぽろぽろこぼしていた。こんなになってしまうのはひさしぶりなんじゃないだろうか。すれちがいざまにマイクを通さずどうした~!とけらけら笑うぺいさんの声が耳に届いて、わたしはそこで泣きそうになってしまった。ここでどうした~、って笑うぺいさん、泣きながら話すミキさんのことばを補うみたいにおだやかにお話ししてくれたぺいさんは、いままでのぺいにゃむにゃむさんを積み重ねた先の「いまのぺいさん」だなあと思う。


昨年の夏はこの先どうなるかわからなくて、先が見えなくて不安で、もうこんなふうに踊ったりうたったりできなくなるんじゃないかと思ってた、今日すごくひさしぶりに会えた人もいると思うし今日来れなかった人もいると思う、会えることは当たり前じゃない、いつもみんなからしあわせをもらっているからこれから先もあたしたちがしあわせをあげられるように、おぼつかない記憶ではあるけどこのようなことをミキさんはお話ししてくれていたように記憶している。それを支えるように、ぺいさんが筆紅に出会えて、この四人で思い出を作っていけるのがうれしいということもお話ししてくれていたかな。ふたりが入って出会えた人もいたから、ということもミキさんが言ってくれていた。

昨年のいまくらいの時期、ミキさんとぺいさんふたりで活動していた時期を話すときミキさんはいつも「宝ものみたいな」って表現をしていて、そのことばにいつわりはないし、でも今日話してくれたような「先が見えない」という感覚もほんとうなんだろう。開かれた場でこの時期のことを話すときには、ミキさんもぺいさんもかならず「でも楽しかった」って締めてくれてたように感じていて、不安だった、という表現は表に出さないようにしていたようにわたしには見えていた。だからこの日、こうやって話してくれたことにすこしだけびっくりしたし、ミキさんがそれを話せるようになった未来にいま立てていてよかった。


このグループをいままで好きでいた人たちが昨年のいまくらいの時期をどう過ごしていたか、どういう気持ちでいたかってきっとたぶんほんとうに人それぞれなんだろう。きっとたぶん、全員がひとことでは表しきれないんじゃないだろうか。すくなくともわたしはそうだしいまだにことばにしてだれかに淀みなく伝わるよう表現しきることはできないな、と思う。

もともと推していた人は、アイドルを辞めてそのままいままで使っていたアカウントを上書きしてアイドルではない人になっていった。今は消去されたアカウントについて言及するのはフェアじゃないと思うので多くは書かないけど、わたしは今もいろんなものを踏みにじられたままのような気持ちでいるし、見方によってはアイドル時代の生き方を否定するようなツイートを見て、いろいろこじれて終わっていったのではないか、という疑念がずっと消せなかった(※実際はいまもお仕事でかかわっているとのことなので、そういった事実はないはずです)。ミキぺいが配信のなかで昔の名前ではなくいまの名前で呼ぶようならもう全部なにもかも見るのをやめよう、全部なかったことにしようと決めていた。ミキぺいがずっと、はくちゃん、白鳥って呼んでくれていたから今もここにいることができている。


去年はこんな暑くて苦しい季節なんかはやく終わってしまえとずっとずっと考えていたし、夏がいつ終わっていったのかもわからない。今年は船の上で、夏が終わっていくにおいをたしかに感じてまだ終わらないでくれー!!って泣き出しそうになってしまった。あのとき夏が終わる瞬間のまんなかに立っていた。こう思えるいまはなんてしあわせなんだろうか。ミキさんはいつもみんなにしあわせをもらっている、と言っていたけどそれはこちらが言わなければいけないことで、お互いこの先もこう思い合いながら生きてくんだろうな、と何度めかわからないけど思う。


いつも特典会では紅さん(推しメンです)にこちらから一方的に感想をまくしたててしまうんだけど、この日はどうしても今日のライブでどんな光景が見えて、どう感じたのかなってことを聞きたかった。自分が思っていることをその場で満足に伝えられるタイプではないことも重々わかっているのでたぶん聞けないだろうなと思っていた。でも、こちらから聞く前に三原で泣きそうになっちゃいましたきれいで、と教えてくれて、そのことに泣いてしまいそうになった。

客席が海を背にしていたからきっとステージからはいちばんいい景色が見えていて、紅さんが海のほうをうれしそうに眺めていたり、いつも以上にたのしそうに目を細めたりきらきらさせたりしている顔を何度も何度も目にした。夜も深まってペンライトもきらきら光るなかでの三原色カタルシスのファインダーのシーン、紅さんがいますごくいい光景を見ているんだろうな、ってわかる表情をしていたから、わかったよ。わたしは背中のほうに広がる光景は見ることができなかったけど、紅さんの瞳をとおして見ることができたような、そんな気持ちになっていた。これからもそうやって、瞳ごしにいろんな光景を見せてもらえたら、いっしょに見ていけたなら、と思う。


どこがよかった、というよりは「全部よかった」って言いたくなるようなライブだった。ライブそのものもそうだし、光景とか感覚とか、乗船場に行くまでとか帰り道とかいまこれをうだうだしながら書いている時間も含めて全部いいライブでした!ありがとう!


野田さんのファンなのでアネロン
飲食持ち込み禁止だったからふつうに水もらうつもりだったのに、ご当地サイダーが取り揃えてありまんまと沖縄に負けた人になった、ドリ代700円なの一瞬で許した
発注したクソバカのぼり超かわいいけど巨大!組み立てたのは乗船前だけで船では棒と布になっていました
乗船前に「この長さの棒を持ち込んでも大丈夫でしょうか?なにもしないので…」と船のスタッフさんに聞いたら「大丈夫ですけどじゃあなんで持ってきたんですか?」って聞かれてほんまにそう
レペゼンももクロなので法被めちゃしっくりでした
大切だ〜


【総括】海って最高〜!!!!!

完!!!!!

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