ターニングポイント(bAnd survivor 2022 東京公演の日が紅さんによせて)


年を重ねれば重ねるほど、「転機」とは訪れなくなるもので、もしあったとしてもそれは自分から選びとれるものではなく、向こうからやってくるのを待つしかないものだとばかり思っていたから、「今回のツアーがターニングポイントだった」と話してくれた日が紅さんのことをとても眩しく思います(そう思うのは常ではあるんだけど)。


二丁目の魁カミングアウトは良くも悪くも、その人の持つ人間としての清濁問わずの感情がダイレクトに乗ったステージを見せるグループで、対して、表舞台に立つプロとしてステージの上では生々しい悲しみや苦しみを徹底して見せないようにしている、人間としての自分との明確な区切りを持っている(ように見える)日が紅さん的には、そんなグループに入って見えないから見えない場所でたくさん苦労があったのではないかな、と勝手に考えてしまいます。それを決して見せようとしないところも、きっと日が紅さんの思うアイドル像なんだろうなあ、ということも。

昨年11月、今回の公演と同じく新宿BLAZEで行われた日が紅さんの生誕祭で「表舞台に立つ人は世間的には笑っていたほうがいいかもしれないけど、二丁目の魁カミングアウトは、悲しみや苦しみを表現することで人に寄り添っていくグループで、だから自分もさらけ出していこうと思えた」ということ(要約)をお話ししてくれて、また、このバンドツアー東京公演では、「ぼくは考えてパフォーマンスをしてしまうタイプだけれど、今回のツアーはありのままの自分、自分の中身をさらけ出して歌うことができた」ということ(要約)をお話ししてくれました。そして、そういう意味でこのツアーは自分にとってのターニングポイントになったんだとも。同じ会場で、こうやってつづきのような気持ちを聴くことができてうれしかったし、お話ししてくれた気持ちのことを考えるともっともっとうれしいような、感慨深いような思いです。


転機、と思えたポイントはどこにあるのかと考えてみると、それはまあ全部ひっくるめてではあるんだと思いますが、やっぱり今回のツアーでの『BAKADEMO AHODEMO』がおおきかったんじゃないのかなあ、と思えてなりません。今ツアーはバンドセットということもあってか、バンドを背負って通常のパフォーマンスをする曲もあれば、ほぼ歌のみで表現する曲もあり、『BAKADEMO AHODEMO』は後者でした。バンドメンバーの前にひし形のフォーメーションでスタンドマイクが置かれ、その先頭の、ステージど真ん中の位置に日がち(日が紅さんのことです)が立ったときの、曲のタイトルコールがされたときの気持ち、気持ち、気持ち………………………………。ああ…………………………。なにも言えん。

センター制度があるグループの、推しメンがセンターを獲ったときの気持ちは、もしかしたらあんなふうなのでしょうか。この曲は日が紅さんが重要なパートを担っている曲だから、マイクスタンドでパフォーマンスするとしたらあのフォーメーションになるのは必然なのかもしれません。それでも、歌割もあの立ち位置もわたしはこれまでの努力で勝ち取ったものだと思っているから、誇らしくてたまらなかった。なにより、そこに立つ姿が似合っていてそこに立つべき人なんだと、そう心から思えたことが幸福でたまらなかったです。たったひとりだけで先頭に立ち、客席と向き合っていたから、もしかしたら心細かったかもしれないし、ものすごい重圧だったかもしれない。でも、両腕を広げて、全身を奮い立たせて歌いきる姿、表情もなにもかも、こうやって拙いことばでわずかに表現することすら惜しいくらいに、指一本も触れずにそのままの記憶で残しておきたくなるような、そんな光景でした。あれが気持ちそのままなんだとしたら、それを目撃できているわたしたちってなんてしあわせなんだろうか。日が紅さんのことは、日が紅さん自身でしか表現することが叶わなくて、だからどうしようもなくステージの瞬間すべてに惹かれるのだと思います。わたしは過去のライブをもう一度見たい、とか思うことって案外なくて、いまがいちばんいい、というタイプなんだけれど、時間を戻せるならば戻りたい時間がふたつだけあって、それは沖縄のカバーゲイライブの島人ぬ宝と、この日のばかあほです。こんなこと思わせてくれるのあなただけだ。


何回か同じようなことを書いているのですが(マジでまた書いてんのかよと思われるレベルでつい最近書いた記憶があります…)、この『BAKADEMO AHODEMO』と、それに付随して特典会で日が紅さんが聞かせてくれた気持ちすべてが大切で、この曲といっしょに日が紅さんは成長していくんだなあと思えたしその変化はとても貴いもので、それにひとつのこたえが出たのがこの日なんだと思うし、それを見届けられたこと、しあわせでした!これからも何度もそう思うんだろうなあ。


初披露の2021年秋のGAY STAR IN THE JAPAN TOUR 千葉公演では、「これからもっとうまく歌えるようになるから見ていてください」とお話ししてくれて(このときはまだ、歌唱の巧さのことだったんだろうなあ)そのことがうれしかったし、これから大切な曲になっていくんだろうなあと思っていた。

あくまで新曲、という印象が強かったこの曲が、このグループの持ち曲として入ってくるようになってきたのはわたしは2022年の春ごろと記憶していて、ツイートを見返したら4月21日のハロモニでもひとつのこたえ、と思っていたみたいで、こたえの日、多すぎて笑ってしまう。でもそれが日が紅さんを追うということな気もします、毎回そのときの最高を持ってきてくれる人なので…。

5月はじめのゴールデンウィークの福岡遠征のときには、「前までは音にあてよう、あてようと歌っていたけど今日は気持ちのままに歌えたの」と教えてくれて、春になってからの、良い!の感覚の理由はこれだったのかな、と思ったし、実際この日のばかあほはすごくすごくすごく素敵だった。

6月おわりにはミキさんと日がちのサシトークがあって、「この曲(ばかあほ)はあなたがいたから出来た曲」とミキさんが話してくれたことも、ふたりだけのばかあほで涙していたことも、日がちのなかのこの曲のパフォーマンス観におおきく影響したのではないかな、と思う。

7月のばかあほはいままでより晴れやかに、それでいてやわらかく感じられたのがサシトークを経たばかあほだ、と思えてうれしくって、「今日のばかあほは笑ったの!」と話してくれた日があったけれど、気持ちそのままの微笑みに見えていたなあ。ミキさんにこういうふうに歌ったらいいんじゃない?とアドバイスをしてもらったんだよ、と話していた日もあった。

8月9日の船上ライブでは、いつも微笑んでいる印象があった「しあわせはかたちはなく目には見えない」のところで、なんだか泣きだしてしまいそうに見えて、この詞でこんな顔をするの、とこちらまで泣きそうになった。そのあとのMCで「こんなふうな自然のなかで歌っていると詞がより沁みいってくる」と話しているとき、その表情を思ったし、その感覚をもってステージに立つ人だからこの人のパフォーマンスが大好きなんだなあと思ったし、わたしだけでなく、日がちもこの夏を重ねて、惜しんで歌っていたのかなと思うし、夏が終わるんだ、と思ったし、この歌のはじまりから季節が一巡りしたことも思います。この東京公演の2日前に行われた対バンのNEO KASSENでは、「こどものような、こどもに戻ったような気持ちで歌っていたの」とお話ししてくれて、自分でも意識していないのに、というニュアンスが含まれたように聞こえたその表現に心臓がぎゅっとなった。あとからどこか崩れてしまいそうな表情をしていた気がするなあと思い返すと、「こどものときみたく欲しいものにまっすぐ手を伸ばせたのなら楽になるのにな」の箇所だった気がして、あとからまた崩れ落ちそうになった。ミキさんも泣き出しそうな顔をしていた。愛知公演、大阪公演と東京公演のあいだのばかあほがそんな質感だったことを、記憶に刻んでおきたいな、と思う。

わたしにお話しすることを選んでくれたことだけでもこんなに豊かな気持ちのグラデーションがあって、わたしがお話しを聞くことができたのもほんの一部分でしかなくて、この何倍も何倍も何倍もきっと日が紅さんは考えてステージに立って、感じて重ねた気持ちがあって、その先にあったのが東京公演でお話ししてくれたことでありあの『BAKADEMO AHODEMO』のステージだったこと、やっぱりとてもじゃないけど、ことばにできないなあと思います。日がちがきてくれてよかったし、日がちでよかった。わたしが生き延びてきた意味のすべて。


このバンドツアーは愛知、大阪、東京を回るツアーでした。わたしは東京公演だけ観に行くことを選んだけれど、愛知・大阪公演と東京公演のあいだのアイソトープラウンジでの公演(これがまたいいライブで、いい遠征だったんだなあとすぐにわかったのがとてもうれしかった!)の特典会で、日がちはさみしかった、会いたかったと言ってくれてうれしかったのだけど、日がちはあまりそういうことを言わない人だと思っていたのでとてもびっくりしました。でも、東京公演が終わったいま振り返ると、愛知公演、大阪公演をやるなかで(もしかするとその練習のときからだったのかもしれない)、これが自分のターニングポイントとなるツアーだと分かっていたから、だからだったのかなと思います。日がちだけではなく、四人が四人ともこのツアーを大事にしていたのだな、とラストの東京公演だけを目にできた人間でも思ったので、そういう意味でいいツアーだったね、と言わせてほしい。

「転機」とは向こうからやってくるのを待つしかないものだとばかり思っていた、と冒頭に書いたけれど、今回、日が紅さんに訪れたターニングポイントは紛れもなく日が紅さん自身が積み重ねて積み重ねて積み重ねて掴んだもので、ほんとうに眩しくて、立派でかっこいい人だなあと思います。


ターニングポイントを超えたこれからのステージに、たくさんたくさんやられてしまうことが分かっているからこそ、もっと予想の範疇を超えてめちゃくちゃにしてほしいしそうしてくれる人だから好きだしあなたを応援することはずっとたのしい。し、考えて考えて考え抜いてパフォーマンスをすることやしてきた自分もいままで以上に愛してあげてほしいし、大切にしつづけてほしいなと思います。全部全部全部素敵でかっこいいよ。

宝物

東名阪バンドツアー
『bAnd survivor 2022』
東京公演
8/21(日)
開場 15:15 / 開演 16:00
新宿BLAZE
曇一時雨
28.7℃ 湿度72%(15:00時点)
◆めでたい衣装
あるある言いたい
【MC】自己紹介
シワの数だけ被GAY妄想
勇者か村人A
若くない者のすべて
GAY STAR
BAKADEMO AHODEMO
Good As Yesterday
【MC】
即興カバーコーナー
筆:チェリー(スピッツ)
ミ:桜坂(福山雅治)
紅:愛を込めて花束を(Superfly)
ぺ:BABY BABY(銀杏BOYZ)
紅:夏色(ゆず)
ぺ:Story(AI)
ミ:世界が終わるまでは…(WANDS)
ぺ:もののけ姫(米良美一)
紅:レイニーブルー(徳永英明)
筆:上を向いて歩こう(坂本九)
全:世界に一つだけの花(SMAP)
【MC】
鶴は千年 亀は万年 僕の数年
パラレルヤワールド
思考回路ショート寸前
ウサギと賽子さん
◻︎私はロボットではありません
耳をすませば

三原色カタルシス
dAnce survivor 1999

【MC】最後の挨拶
ひふみよ
やめらんない!とまらない!
リバ
【MC】
yesterday the once more

(自信ないので加筆修正ご指摘超願います!)

おわり

OS1ゼリー

ぐりという名前です。アイドルオタクの気持ちブログ。

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