(2017年11月4日に行われた二丁目の魁カミングアウトさんワンマンライブの感想の再掲です。)
記 2017年11月15日
◆
この日はとても風が強い日で、嵐のように過ぎていったわたしの10月を思い起こしました。
そういえば、二丁魁さんの特典会にはじめてお邪魔したときも、嵐のようなひとたちだと思ったんだったなあ。
ゲイでもアイドルになれる、をコンセプトとして掲げる二丁魁さんこと二丁目の魁カミングアウトさんを好きになり、1ヶ月と少しになります。11月4日に新宿BLAZEにて行われた「絶対に埋まらないワンマンライブ」。これを埋めるためにも、と企画された地獄という名の10月のフリーライブ(なんと10月中に9回開催されました、しかも毎回ちがうコンセプトで!なんてホスピタリティ)は、わたしの好きをどんどん加速させていきました。
10月最後の地獄から11月4日にいたるまで、日数としたら全然少しだったのに、ずっと待ち遠しくて。
「□お手紙を書いてくる」って項目がうれしくって、とってもかわいいメッセージカードを買ったりなどして!
わたしは手紙を書くのが好きです、そして好きなのと同じくらいこわいです。
その人のことだけを考えて手紙を書く時間というのはしあわせなことで、でも伝えられない思いを詰め込んでしまうからいつも遺書みたいになってしまう。手紙を届けるということは、押し付けること、忘れてしまうこと、託すということ。
二丁魁さんの楽曲の作詞すべてを手がけるミキさん。『そっ閉じ青春』の歌詞は、メンバーに手紙を書くように書いたとおっしゃっていました。思いを託すということ、思いを受け取るということ、そしてそれがパフォーマンスに昇華されるということ。なんてうつくしいのだろうと思いました。なんていう信頼!わたしの思う神さまはいつもことばに宿っている。
『そっ閉じ青春』の閉じは扉を閉めるようなイメージがあったけど手紙に封をするときのような、思いを閉じ込めるような、そんなイメージもあるのかな、と思ったりしました。
現地に着いてグッズや特典券を買って、二丁魁さんとは別のアイドルのファンとして知り合った方に会えてうれしかった。わたしの呟きを見てたのしそうだと思って現場に行きました、って言っていただけたのもうれしかった、はじめての邂逅がどんなかんじだったかも聞けて楽しい時間でした!小腹を満たすために頼んだチキンとハニーマスタードのサンドイッチは思ったよりも量があって、マジか~と思いながら食べました。おいしかったです。示し合わせていなかったのに、その方と偶然連番でけらけら笑ってしまった!
自分の番号が呼ばれるまで待っているとき、空は暗くなりはじめていて、新宿歌舞伎町はぴかぴかを増していました。風がびゅうびゅう吹いて雨も一粒二粒ときて、寒かったな~。それでもどきどきは冷めず、有志の方の配るサイリウムを受け取るとき、お祝いのお花に感動しながら下っていくとき、ロッカーを探しているとき、中に入って場所を探して、サイリウムもう折れちゃった、なんて言いながら待つ時間、超いとおしかったです。
そして、思っていたよりもずっと早くライブがはじまった気がします。
ぴんぽんぱんぽんからはじまるぺいさんのアナウンス、この日に寄せての言葉、歓声
ステージにあらわれたメンバーに惜しみなく送られる拍手。その中でミキさんは静かに本を開きます。
『そっ閉じ青春』の一節を朗読しはじめたあの瞬間、だれもが息をのんだのではと思います。
白いスポットライトに照らされるメンバーがとつとつと語るあの光景、ミキさん、きまるさん、ぺいさん、ひとりひとり詞を読み、ステージを後にし、最後ひとりステージに残る白鳥さんの、天使のはしごに照らされた白鳥さんの荘厳さ。
ひとり、またひとりと去ってだれもいなくなったステージに朗読が響きます。
最後の一節がおわり、暗転したステージに現れたメンバーは、純白のタキシードを身にまとって現れました。客席からあがったため息のような悲鳴が忘れられません。
そしてはじまる『そっ閉じ青春』。
今までをすべて背負ってステージに立つというミキさんの言葉、それを象徴するような、今までの軌跡を表すイントロの振り。夢みたいに広がるドレスのような衣装の裾、羽を広げる白鳥さんの祈りめいた姿、全部全部に胸がいっぱいになってしまってなにも言えませんでした。
『そっ閉じ青春』とは、わたしにとって(わたしたちにとって)の赦しであります。わたしには忘れたいことも忘れたくないことも、置いてきてしまったものもあって、そんな錆色の日々に蓋をして、きちんと決別をしなきゃいけないという思いをそっと拾いあげてくれたのがこの歌でした。“取り戻せないから青く光る”、なんてやさしい詞なんだろうって涙がでます。
つづく『耳をすませば』『三原色カタルシス』『シンポジウムリフレイン』、
こんな飛ばしちゃっていいの!?って心配になるくらいたのしかった!白鳥さんの振りがいつもより大きく堂々としていたのが印象的でした。そしてこの衣装で見せてくれる、背中合わせのフォーメーションがうつくしい……。
『三原色カタルシス』の“この景色だけは愛と呼ばせて”、三人の、ぺいさんのつくるフレームの中におさまる客席の景色を愛と呼んでくれること、なんて愛なんだろうといつもぐっときていたのですが、わたしたちの指の中におさまるステージの上の景色もまた愛なのだと、今更ながら気づきました。飛ぶぺいさんの熱さ、泣けてしまった。
『まるもうけ』のイントロを聴くと心臓が花開くような感覚します、魔法みたいなイントロ!はじまりにもおわりにもぴったりなこの曲をこの位置にもってきてくれるの最高!スパイシーでありながらハチャメチャハッピーで、あ~ほんと良い曲~!(4817521回目)
自己紹介、熱をはらみながらもいつもどおりのみなさんで、真ん中に行こうとした白鳥さんに突っかかるミキさんに笑った、いとおしすぎました。
白鳥さんの自己紹介の白鳥の湖るとこ、ある程度のユーモアを乗せて届けられていると勝手に認識しているんですけど、純白のロングタキシードで舞う姿まったくシャレになってなかったです。うつくしすぎやしないか……。
新しい衣装、前から見るとタキシード、うしろから見るとウェディングドレス、腕にブーケもついてるの!ってうれしそうにしている四人がまたいとおしかった。「ゲイだからどっちも着れる」、いい言葉!
MC開けは大好きな『ノスタルジスター』で、舞うような振り付けにドレスの裾が広がるうつくしさ、ぴったりでうっとりしていました。
愛する2番Bメロ、“綺麗故に消える美しさよ”と歌う白鳥さんを囲み回る三人、もはや儀式めいた神聖なうつくしさで、体の力が全部抜けてしまった。
この日、白鳥さんの歌う上のハモりがほんとうによく聴こえて(幻聴だったらすみません、でも歌ってましたよね……?)、それがあんまりにもきれいでびっくりした、これに今まで気づかなかった自分にもびっくりしてしまった……。ほんとうにほんとうにうつくしい調和で、大好きな『ノスタルジスター』でこんな、って震えた。
『TOO SHY SHY PEOPLE』、『人を好きになれる 君は何度でもやり直せるんだ』、『言いたいことも言えないこんな世の中じゃん』と続くミディアムナンバーも、衣装替えをしてからの『ネコの恩返し』も、この広いステージで魅せきってくれる二丁魁さん
ど新規のわたしですら、いままでやってきた全てを乗せた自負みたいなものを感じました。すごくすごくかっこよかった!
『カエルのうた』からの『マイノリティーサイレン』、強かったな~!強かった。
生々しく息づく生を歌う二丁魁さんの歌の中で、唯一「死」がいちばん近くにある
それが『カエルのうた』だと思っていて、走馬灯や死に際の白昼夢は、もしかしたらこんなにもハッピーな姿をしているのかもって、いつもふしぎな気持ちで胸がつまります。
二丁魁さんの歌はわたしたちが生きる世界の歌で、二丁魁さんもその世界で生きていて、そこには永遠はなくて、忘れたくないぬくもりや名前も忘れてしまう世界だけど、
“死んでも忘れないさ 君のことだけは”って歌ってくれること、たいせつにしたいです。
対して泥だらけの生を歌う『マイノリティーサイレン』。
この世界を生き抜いていく決意、みたいなものが詰まったパフォーマンスに、何度めかわからないけどまたやられてしまった。とおくに四人の鋭い眼光が見えた気がしました。隣の知らないかたと目配せする瞬間の、肩を組んで歌う瞬間の、あの充足感っていったいなんなんでしょうね。
最後を飾るのは『yesterday the once more』。
ミキさんが「おなカマのことだけ考えて作りました」と語ってくれた、無敵のナンバーです。
この曲のイントロを聴くと、幼いころ、5時のチャイムが聞こえたときみたいな
そんなさみしい気持ちになるのですが、最高にたのしそうに顔を向き合わせる四人を見て、絶対にしあわせになってほしい、この曲のいとおしさみたいに!って叫びたくなります。ステージの上の二丁魁さんと客席のわたしたちが向き合う姿は愛だし、電車ごっこをして同じ方向の前を見つめるあの瞬間も、かぎりなく愛であると思います。
この曲の歌詞はどこを切り取っても愛しかなくて、なにかを語ることも野暮に思えてもうほんとうに聴いてほしい、と願うほかないのですが、
“ねえ いつかこの道をふたり一緒に歩こうか”でいつもたまらない気持ちになります。
アイドルとファン、という関係はどこまでも一対多数であり、
「ふたり」にはけしてなりえない関係で、わたしはアイドルオタクとして、それが限りなく幸福な関係性だと、いまでも思っています。
でもミキさんはこの歌をおなカマのために、と捧げてくれているから、「この道を歩くふたり」は、一対一のわたしたちということになります。そしてミキさんは本気で一と一として向き合う、という志をもっていて、もうほんとうに、身に余る幸福だと思います。この人たちのファンになるということはそういうことなんです。
「この道」は、概念的な道というか、未来的な意味をもつ道だと思いますが、
わたしにとってはいつもの川べりの道であったり、高校のときの帰り道のいちょう並木だったり、夢でしか見たことのないあの海への道だったりしています。
みんなはどんな道を思い浮かべているんだろうか。
アンコールではまたウェディング衣装を身にまとってステージへ。
アンコール一曲目の『ホモサピエンス』、こんなにも生の痛みを感じながらも踊る歌う生きる二丁魁さんはうつくしい。“人は変われるらしいんだ”、のきまるさんの歌声にいつだって胸を締め付けられます。
来年5月1日、火曜日平日に1200人(!)を目標とした渋谷O-EASTでの「絶対に埋まらないワンマンライブ」の開催が発表され、
そして披露された新曲『BUG IS LIFE』。
『ネコの恩返し』が『耳をすませば』のアンサーであるように、この曲も『マイノリティーサイレン』のなにかしらであるとすぐに気づきました(あとで聞いたお話によると、ふたごみたいなものなのかな)。叫ぶような白鳥さんの歌声が衝撃で、吸い込まれてしぬんじゃないかと思いました。“先生”と“忘れないでねわたし”…………。
四人のあいさつ、これももう、なにかを言うことは野暮だろうと思います。ずっと涙がとまりませんでしたし、すすり泣く声がずっとしていた。
男性アイドルでも、女性アイドルでもなかった、それでもあこがれのアイドルになりたかった。それを聞いて、アイドルになってくれてありがとうありがとうって心の中で唱え続けていました。
「二丁ハロはもっと飛躍できます」(いま思うとビッグマウスだったんですけど、って付け足した白鳥さんが大好きな白鳥さんだったな)ってミキさんに言った白鳥さんが、四人でのビジョンが見えていた、と言った白鳥さんがあの場所に立っていたこと、ものすごい構図だと思ったな。ミキさんとぺいちゃんにもう「あの二丁ハロが」なんて言わせないように、言われないように、って言葉も、わたしが保証しますって言葉も、なんて覚悟、って震えた。
一ヶ月前のわたしへ わたしはものすごい人を推させていただくことになりますよ
「わたし」と言うきまるさんに、懸ける思いみたいなものひしひしと感じました。
きまるさんもなりたくてもなれなかったアイドルへの憧憬を語っていて、ああこの人たちがアイドルになれる世界でよかったと本気で思いました。いつも軽やかににこにこしているように見えていたきまるさんにもたくさんの不安があって、その中でおなカマと二丁魁そのものを希望と呼んでくれること、それはやっぱり希望だし、そう呼んでくれるきまるさんはやっぱり希望だ!
ずっとやさしい声で笑顔で話してくれたひだまりみたいなぺいさん。
現場にきてくれる人もこれない人も、おおきい声の「好き」もちいさい声の「好き」も
どんなかたちの「好き」もうれしい、って語ってくれたぺいさん。ああその言葉に救われるひとがどれだけいるだろう、って泣いた。わたしのひとりごとみたいな好き!も、ぺいさんの力のひとかけらになっていてほしいって願いました。
え~もうこれはもう、とにかく聞いてほしいです、アイドル好きな人はみんな……
はじめてミキさんの言葉を聞いたその日から、ミキさんのアイドルとしてのポリシーが好きだって、いまもメチャクチャそうだって、そのことをあいさつを聞いているあいだずっと思っていた、ずっと着いて行けるって思いました。
“わたしはまたわたしに生まれ変わりたい、でもみんながいなかったら意味がない
だから来世でもまた出会えるようにみんなも自分自身に生まれ変わりたいって思える日々を過ごしてほしい”。
もうなにも言えない、誓いだった、ものすごい誓いだった、病めるときもすこやかなるときも雨の日も風の日も、死がふたりを別つまで、みたいだった。
ていうか、それも飛び越えてしまっていた、わたしはまだわたしに生まれ変わりたいって思えないけど、そう思えるように生きてまた自分に生まれてまたここで会いたいって思いました。
世界一かわいいゲイアイドルと、世界一かっこいいゲイアイドルと、世界一太陽みたいなゲイギャルと、世界一愛のあるリーダー!そう言ってぎゅーって抱きしめあう光景、愛しかなかった、もうほんとうそれしか言えないです。
みんなの顔を忘れても、みんなはわたしの心の中で生き続けます、と語ったミキさん。
流れ出すラストナンバーは『青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ』。いっしょに手拍子ができることも大好きな人に捧げられることも幸福すぎてますます泣いた。わたしもきっといつかきょうのことを忘れてしまうけど、ミキさんが言ってくれたことが、ここで好き!って気持ちでいたことが全部なんだと思った。
特典会の超高速チェキ、なんにも言えなかったけど、ミキさんに「これからだぞ!」って声かけていただいて、なんて頼もしさだ~!!って、きょう何度めかわからないけどまた好きになってしまいました。
あのときわたしの体には愛しかなくて、好きだ、って言い合いながら帰路についたけど
それでも言い足りないくらい好きだな~、って思いました。来るときよりも水分を多くふくんだ瞳には、新宿の街がきらきらして見えて、ゴジラがいなないていて、この世の終わりみたいな様相だったように思えた。いつゴジラに踏み潰されて死んでしまっても、また会えるようにしなきゃなって本気で思ったの、いま思うとちょっと笑ってしまう。
0コメント