祝日の木曜だった4月29日に丸一日ゲームをしていたら日付の感覚が狂ってしまったのか、30日の出勤はまるで月曜日みたいな感覚だった。業務のなかで日付を確認していたら、あれ、もしかしなくても明日が5月1日なんじゃないか?と急に気がついてしまい、5月1日用の脳みそと体になっていなかったわたしはせめてもの悪あがきでちょっといいパックとヘアトリートメントとキレートレモンを買って帰った。わたしにとっての現場はこういったちいさな儀式のつみかさねでできている。
日付変更と同時に公開されたMVを見てどうしても海を見にいかなくてはならない気持ちになっていたから配信の1時間前くらいに家を出た。途中でお花屋さんに立ち寄ってだれに渡すでもないお祝いの花束をつくってもらった。去年の今日は、1年後もまだライブに足を運ぶことがむずかしい状況だとは思いもせずどちらかといえばあかるい気持ちで花束をつくってもらっていたなあと思う。どなたにですか、と聞かれて知り合いのお祝いにと答えた。大嘘つき野郎。男性ですか、女性ですかと尋ねられてすこし返答に迷ってしまったけど男性ですと答えたら青色のかざり紙を用意されてなんだか複雑な気持ちになってしまったけど、二丁目の魁カミングアウトの歌詞のなかに出てくる「青色」の(わたしの思う)イメージに近い青色だったからそれはうれしかった。
雨が降る前の海は波が荒々しく高くて風もつよくて、こんな日に来るなよと言われているかんじだったけど来てよかった。帰り道にぽつぽつ雨が降りながらも晴れ間が見えていて、大好きだった女の子の大阪でのソロワンマンライブの日とか、前体制の二丁目さんの仙台でのワンマンライブの日とか、わたしのなかのなにかを変えられる日の天気はいつも天気雨だったからこの日もそんな日だったのかもしれない。
5月1日から5月4日にかけてのライブが延期になることが発表されたとき、オタクはなにもできないよなあ、とあらためて痛感した。アイドルが競走馬だとしたら、オタクは騎手ではなくましてやおなじ競走馬でもなくあくまで観客でそれ以上でもそれ以下でもないのだ。なにも責任を被らなくてもいい立場がいいところだと感じるときももちろんあるけどそれ以上にいつもかなしい。ステージに立つアイドルを見ているときにも、ああいま、がんばれ、味方だよ、応援してるよって気持ちがそのまま伝わればいいのに、って歯がゆいような気持ちになるときがあって、きょう言いたいことも言えないこんな世の中じゃんをうたっている筆さんを見ているときもきっとそんな気持ちに近かったんだと思う。泣いてしまいそうになるのをこらえながらうたっているように見えた姿を見てずっとがんばれがんばれがんばれって拳をにぎってしまっていて、だから紅さんが手をさしのべてふたりが手をつないだとき願いが届いたような気持ちになった。いまステージでうたう筆さんの手をにぎってくれてありがとう、って思ったし、いつかわたしがステージに立つ紅さんを見てああまたライブに行ってもいいんだなあ、またこの人たちを応援してもいいんだなあって思えたときのことを思い出した。
筆さんは前に「自分はこの歌の歌詞のどれにも当てはまらない」と話していたことがあって、そのことをすごくよく覚えている。でも、だからこそわたしはこの歌を筆さんがうたってくれることに意味があると思うし、筆さんがこの歌をうたうことでしか伝えられないだれかが絶対にいるんだと思っている。二丁目の魁カミングアウトに入ってくれたのがふたりでよかったし、筆さんが、紅さんが二丁目の魁カミングアウトを選んでくれてほんとうにうれしい。
いつぶりかわからないくらいに聴いた三原色カタルシスのおちサビは相変わらず世界でいちばんいいおちサビだなと思ったし、はやく「この風景」を目の前にしてうたってほしいなと思ったし、やっぱり青春がいちばんいい曲だなーと思ったしやっぱりカエルだなーと思った。この日のわたしMVPは人好きで、ピンクいろの照明がフェードアウトするなかの四人のシルエットが心からうつくしいと思った。脆くてこわれそうで傷だらけでだからこそ好きでたまらなかった前体制の人好きが、必ず叶っていく希望としての人好きに姿を変えたのは、やはり紅さんという人の力がとてもおおきいように思う。「誰かを好きになれる それだけで 何度だって立ち上がれるんだ」という歌詞がこんなに光に満ち満ちていることをわたしは紅さんがうたってくれてはじめて知った。あとそれぞれの曲のタイトルコールの人選がめっちゃ分かるってなってそれが超よかった(青春がミキさん、耳すまが筆さん、マイサイが紅さん、三原色がぺいさん、人好きが紅さん、カエルがミキさん、言いたいこともが筆さん)。それとやっぱり新衣装めちゃくちゃかわいい!みんなシルエットがきれいに見えていい!ぺいさんが優勝すぎてずるい!いいアルバムでいいライブでいいアイドル!ライブを見たあとすぐに現場にいきたい、となってしまったし現場を見たあとに友だちといろいろ言い合ったりしたいなあとたまらない気持ちになったし、特典会が終わったあとにいまさら緊張がぶり返してきてゲボ吐きそうになるの、めちゃくちゃわたしにとっての現場だなという気持ちになった。
つきつめるところありがとうしかありません。ぺいさんは十周年をぐりちゃんがいっしょに応援してくれて迎えられることがうれしいと言ってくれたけどそれは全部あなたたちのおかげで、アイドルになってくれてありがとう、アイドルを続けてくれてありがとう、アイドルを選んでくれてありがとう、の気持ちしかない。そしてほんとうにおめでとうございました。明日もゲボ吐きそうになりながらたのしみにしています。
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